労災保険の特別加入:知っておきたい!中小事業主(個人事業主)の加入時健康診断
知っておきたい!中小事業主(個人事業主)の加入時健康診断
中小事業主(個人事業主)が加入時の健康診断が必要な場合があります。
具体的には次のとおり記載されている業務です。
特別加入予定者の業務の種類 | 特別加入前に左記の業務に 従事した期間(通算期間) | 必要な健康診断 |
粉じん作業を行う業務 | 3年以上 | じん肺健康診断 |
振動工具使用の業務 | 1年以上 | 振動障害健康診断 |
鉛業務 | 6か月以上 | 鉛中毒健康診断 |
有機溶剤業務 | 6か月以上 | 有機溶剤中毒健康診断 |
それぞれ定められた期間従事したことがある場合には、特別加入の申請を行う際に健康診断を受ける必要があります。
わかりやすい中小事業主(個人事業主)加入時健康診断手続き方法
①「特別加入時健康診断申出書」(以下「申出書」といいます。)を労働保険事務組合を通じて監督署長に提出。
②申出書の業務歴から判断して加入時健康診断が必要であると認められる場合、監督署長は「特別加入健康診断指示書」(以下「指示書」といいます。)および「特別加入時健康診断実施依頼書」(以下「依頼書」といいます。)を交付。

特別加入時健康診断申出書
③指示書に記載された期間内に、あらかじめ労働局長が委託している診断実施機関の中から選んで加入時健康診断を受診。依頼書は診断実施機関に提出。
※お近くの診断実施機関については都道府県労働局または労働基準監督署にお問い合わせください。
※加入時健康診断の費用は国が負担しますが、交通費は自己負担となります。
④診断実施機関が作成した「健康診断証明書(特別加入用)」を申請書または変更届に添付し、監督署長に提出。
※じん肺健廚診断を受けた場合には、じん肺の所見がないと認められた場合を除き、健康診断証明書にエックス線写真を添付する必要があります。
【チェックポイント】健康診断証明書を提出しなかったり、業務の内容や業務歴などについて虚偽の申告をした場合には、特別加人の申請が承認されない、または、保険給付が受けられないことがあります。注意してください。
押さえておきたい 特別加入が制限される場合
加入時健康診断の結果が次のような場合には特別加入が制限されます。
特別加入の制限① | 特別加人予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が・般的に就労することが難しく、療養に専念しなければならないと認められる場合には、従事する業務の内容にかかわらず特別加入は認められません。 |
特別加入の制限② | 特別加人予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が特定の業務からの転換を必要とすると認められる場合には、特定業務以外の業務についてのみ特別加入が認められることとなります。 |
必ずチェックをしておきましょう。
特別加入の「超」本質:保険給付を受けられない場合
特別加入前に疾病が発症、または加入前の原因により発症したと認められる場合には、特別加入者としての保険給付を受けられないことがあります。
どういうことなのでしょうか。
つまり、特別加入者に関する業務上の災害として保険給付の対象となる疾病は、特別加入者としての業務を遂行する過程において、その業務に起因して発症したことが明らかな疾病に限定されます。特別加入前に発症した疾病や特別加入前の事由により発症した疾病に関しては、保険給付の対象となりません。
したがって、加入時健康診断の結果、疾病の症状または障害の程度が、特別加入についての制限を行う必要のない程度であった場合であっても、加入時点における疾病の程度および加入後における有害因子へのばく露濃度、ばく露期間などからみて、加入前の業務に主たる要因があると認められる疾病については、保険給付は行われません。